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柔道~ザンジバル武道館杯2009

今日は、柔道の話題で、ザンジバル武道館杯2009の様子をお伝えします。
今回のザンジバル武道館杯は、軽量級、中量級、重量級の3階級で、熱戦が繰り広げられました。
今大会のトピックスは、タンザニア本土から、上半身全体に入れ墨が入った白人(重量級のポーランド人)が送りこまれてきたことです。彼の応援団としてポーランド人が15人ほどやってきて応援していたので、会場は白人対黒人の様になり、このポーランド人が出てくるたびに、すごい熱気となりました。

ポーランド人は背負い投げを武器に勝ち上がり、決勝進出。最後にザンジバルの砦として登場したのは、モハメッド。2008年の夏に日本(講道館・順天堂大学)でいろいろなタイプの柔道家と練習した成果を出して、あわてず、ポーランド人の背負いも組み手で封じ、2分を過ぎたところで大外刈りで相手を転がし、そのまま寝技に入ってがっちり抑え込んで一本勝ちを決めた瞬間、会場からウワーという歓声が沸きました。

 モハメッドは、キャプテンとして誰よりも真面目に練習をして、みんなを引っ張っていながらも、昨年3月に行われた東アフリカ大会の国際舞台ではメダルを逃していたので、この年最後の国内試合、第4回ザンジバル武道館カップのヒーローとなったことで、満面の笑みを浮かべていました。
 会場には、モハメッドの子供たちも見に来ていたとかで、試合が終わって帰宅すると、奥さんはもちろん近所の人たちもみんなすでに試合結果を知っていて、特に子供たちは、「お父さんが白人に勝った、お父さんが白人に勝った」と大騒ぎだったそうです。
戦後間もない時期に、街頭テレビに群がって、アメリカ人をやっつけるプロレスラーたちを本気で応援していた日本人の気持ちと通じるものがあるのかもしれません。

中量級は、まだまだ誰もハマディに追いつかず、圧倒的な強さでハマディの優勝。そろそろハマディを揺るがしてくれる選手に出てきてほしいものです。

 軽量級の決勝は、キデーゲこと、ベテランのアリ・ジュマとムィニ・アリ。
ムィニは、実力がありながらもアリ・ジュマを神のごとく恐れ、彼には勝てないと自分で思いこんでいるようで、アリ・ジュマに一度も勝ったことがありませんでしたが、この日は先輩超えの気持ちが奮いたっており、果敢に攻め、開始1分で有効を取り、優位に立ったものの、その後守りに入ってしまい、アリ・ジュマに有効を取り返されて、ゴールデンスコアに(同点の際、時間もポイントも白紙に戻して仕切り直しする)もつれこみ、試合巧者のアリ・ジュマに先制ポイントを取られて惜敗。
 結局今回もアリ・ジュマ超えはできなかったものの、ムィニの成長ぶりが目立つ試合でした。

試合後は上位三人のメダル&賞品授与の後、優勝はできなかったものの、会場を沸かせたオマル・ドラ、ムィニ・アリ、ポーランド人のジョゼフの3人が敢闘賞に選ばれました。
昨年7月に道場開きをしたザンジバルの最北端の漁村ヌングイの道場からも11名参加したことに加え、軍隊からの新人も3人参加したので、新人同士で勝ったり負けたりの攻防もあり、それも盛り上がりの一因となりました。 

大会来賓は、情報文化スポーツ省のスポーツコミッショナー、ムシンド氏。
彼も、青空道場時代からザンジバル柔道を見てきた人なので、「久しぶりに柔道大会を観戦して、みなさんの技術の向上と、柔道の発展を大変嬉しく思います」という内容のスピーチをしてくださいました。

 ということで、今大会は、ポーランド人の刺青男ジョゼフ(しかも、彼の職業は、カジノの用心棒)の思わぬ参戦により、白人対黒人の態で盛り上がった大会でしたが、中量級にはザンジバルに住んで1年ほど道場に通っているイスラエル人少年のバルコチュワ(17歳ですが180cm以上あります)が初出場して奮闘し、敗者復活戦を勝ち残って3位入賞を果たし、みんなから拍手を浴びていた姿もあり、第4回ザンジバル武道館杯は、思いがけず国際色豊かな大会となりました。

また、これは毎年恒例でその年の最後に行われる国内大会かつ、参加者全員に賞品が出る試合なので、第4回ザンジバル武道館杯(2009.11.15)は、参加者全員が、賞品にも、その後にあるザンビア遠征に選ばれることにも燃えていました。

 
写真は、ザンジバル柔道サイトにもたくさん入れてあります。柔道に関心のある方はどうぞご覧ください。

「柔道~ザンジバル武道館杯2009」への4件のフィードバック

  1. バラカさん、ジャンボ!
    ザンジバル勢、活躍されたそうですね。
    ハマディさん優勝おめでとうございます!
    いつもおもいますが、商品をみると
    アフリカで今、何が人気があるのかわかります。
    開催する場所によっても商品が違いますね。

  2. すごいですね~
    みなさんがんばっていらっしゃいますね
    ムィニさんは次の大会でもし当たったら勝てるかもしれませんね
    いつかは追い越していくんですよね

  3. baraka_tanzania

    ☆konekoさん、ジャンボ!
    ザンジバル柔道へのご声援、ありがとうございます!
    選手たちのモチベーションを上げるために、毎年この大会では賞品を出すようにしており、
    全員に渡す参加賞から、敢闘賞、上位入賞者と賞品の内容をいろいろ考えるのですが、
    選手たちから事前にリクエストを聞くと、毎年少しずつ変化があって面白いです。
    最近では、やはり携帯電話やデジカメが人気のようです。
    日差しが年中強いので、参加賞の帽子もとても喜んでいましたよ。

  4. baraka_tanzania

    ☆づみさん、ジャンボ!
    ザンジバル柔道へのご声援、ありがとうございます!
    >ムィニさんは次の大会でもし当たったら勝てるかもしれませんね
     ↓
    ムィニのキデーゲ(アリ・ジュマ)越えも、そう遠い日ではなさそうです。
    そして、ベテランのキゲーゲ自身もムィニの成長を頼もしく思いながら、自分を超えていく日がくるのを待ち望んでいるのがよくわかります。
    世代交代の時期というのは、超えようとする者より、越えられていく者の側からのほうがはっきり見えるものですね。

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