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2010年最後の柔道大会~第5回ザンジバル武道館杯

今年もカウントダウンに入りましたね。私の住むザンジバルは、イスラムの島なので、クリスマスにも年末年始とも縁のない雰囲気で、気温と湿度だけが上昇中で、毎日誰もが大汗を流しながら過ごしています。
 さて、ザンジバル柔道連盟として、今年最後の大会、第5回ザンジバル武道館杯を12月19日(日)に開催しました。  
今回は、タンザニア本土から45人という大人数を迎え討っての試合となりました。
一方ザンジバル側は、今大会、出場を予定していたヌングイ村の選手たち(普段は漁師)が、大会の日がちょうど漁期にあたって、仕事を抜けられないといった事情もあって参加選手が25名と、ここ数年で一番エントリーが少なかったため、少人数で大勢の本土選手を迎え討つという形になり、苦しい試合展開となりましたが、最終的な結果は、ザンジバルが、60kg級-金、66級-金・銀、81kg級-金・銀、81kg超級-金・銀・銅を取って、5階級の内4階級を制覇しました。

5階級の優勝者と、島岡強ザンジバル柔道連盟会長
(右から順に)
66kg級、ムィニ アリ(ザンジバル)
81kg級、ハマディ シャーメ(ザンジバル)
81kg超級 モハメッド ハミシィ(ザンジバル)
73kg級、アジジ オマル(タンザニア本土)
60kg級、アザン フセイン(ザンジバル)

 ところで、今大会は、参加人数が多かったので、初めて、試合場2面を使って、大会を運営しましたが、本土の選手たちが大勢参加したことと、それを少人数で迎え討つ形となったザンジバル勢という展開もあって、盛り上がりのある大会となりました。
60kg級は、若手のアザンが、22名もエントリーして激戦区となった60kg級の中、内股での一本勝ちを続け、実力を見せつけて文句のない優勝を飾りました。
66kg級の決勝は、国内戦はもちろん、東アフリカ大会でも何度となく決勝戦で同じ顔ぶれとなったキデーゲことアリ・ジュマとムィニの対決に。どうしても先輩であるアリ・ジュマに勝つことができず、万年2位だったムィニが、なんと通算10回目の挑戦にして、初めて先輩アリ・ジュマ超えを果たし、拍手を浴びていました。
73kg級は、優勝候補だったアブドゥルサマッドが、開始早々の先制攻撃でまさかの一本負けを喫し、73kg級が総崩れとなってしまいました。彼はスロースターターで、試合後半に強い選手。島岡会長からいつも、試合開始早々から気合い全開で挑むようにと言われていたので、今回、開始早々ろくに組み手争いをする間もなく秒札されてしまったことは、若いアブドゥルサマッドにとって、苦いながらも、大変いい経験になったと思います。
81kgの決勝は、73kgから階級を上げて出場したハマディ・シャーメが優勝を飾りました。、背の高い選手が多い中、ハマディは大腰で豪快に投げて一本勝ちで勝ち進み、81kg級でも通用するという手ごたえをつかんだようです。
81kg超級の決勝は、本土選手をやぶって勝ち上がったモハメッドとマスーディの対決に。マスーディと力の応酬では部が悪いモハメッドが、組み際に足技で揺さぶりをかけ、コツコツと有効ポイントを重ねて狙い通りの優勢勝ち。マスーディは、東アフリカ大会で100kg級、無差別級で連続優勝を重ねている選手なのですが、なぜか、賞品試合のザンジバル武道館杯にはあまり縁がなく、ザンジバル柔道の七不思議の一つとなっています。
 年に一度の大きな賞品試合であるザンジバル武道館杯は、今年で5回目。その前身である、ドクターカップから数えると10回目を迎えました。柔道選手たちのモチベーションを上げるために、米や自転車から始まり、テレビ、ビデオなどなど、時代に応じた賞品を選んできており、参加賞もあるので、選手たちにとって毎年楽しみな、力の入る大会となっています。

 今回の賞品は、事前に選手たちからリクエストを聞き、1位にオーブン付きの電気クッカー、参加賞は全員魔法瓶にしました。ちなみに、参加賞に用意した魔法瓶は、湯が冷めにくいということで、タンザニア一人気のあるメーカーのものだったので、大変好評でした。81kg超級で優勝したモハメッドは、オーブンを持ち帰ったところ、会場に来ていた子供たちから伝え聞いた奥さんが満面の笑みで待っていただけでなく、近所の人や親戚達まで家に集まって、大喜びだったとのことでした。

閉会式では、今大会来賓、日本大使館川口周一郎公使と、情報文化スポーツ省スポーツ局局長から、激励も含めた心のこもったスピーチをいただきました。

 これで、今年の柔道の行事はすべて終わりましたが、もちろん、大会後は、また地道な日々の練習が始まっています。
 
 今年も、ザンジバル柔道を応援して下さり、ありがとうございました。来年も、ザンジバル柔道連盟の活動を通して、タンザニア本土や、アフリカの柔道家たちの様子も含めて、日本から渡った柔道を受け継いでがんばっている姿を、お伝えしたいと思います。
                   by 島岡由美子
☆ザンジバル柔道のサイトは、こちらです。
こちらの方は、写真が多く、ザンジバル柔道連盟の思い出アルバムと化しつつありますが、タンザニア便りでは紹介していない活動も載せていますので、関心のある方は、開いてみてくださいね☆

「2010年最後の柔道大会~第5回ザンジバル武道館杯」への2件のフィードバック

  1. バラカさん ジャンボ!
    信州は、雪が吹雪いています
    この寒さ、少し贈ってあげたい(笑)
    ムィニさん10回目の挑戦で先輩のアリ・ジュマさんに勝てることが出来てよかったですね
    賞品も選手たちからリクエストって言うのは、いいですよね
    それも、実用的なもので・・・。
    1位のオーブン付きの電気クッカーをいただけた人は、家族からも喜ばれたでしょうね

  2. baraka_tanzania

    ☆つくしさん、ジャンボ!
    >この寒さ、少し贈ってあげたい(笑)
     ↓
    ぜひぜひ、贈ってください。冷た~い風がほしいです~(笑)
    >ムィニさん10回目の挑戦で先輩のアリ・ジュマさんに勝てることが出来てよかったですね
     ↓
    ありがとうございました。ムィニは、本当に喜んでいました。
    10度目の正直で得た勝利の味は最高だったそうですよ。
    実力は今も拮抗している二人なので、次の大会でも決勝戦で11度目の対決があるかもしれません。

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